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2010年8月27日 (金)

【ピカ☆イチ】〔槙ようこさん×持田あきさん〕第1回(講談社ARIA創刊号・2010年9月号)の感想 その2

関連
講談社ARIA創刊記念のイベント、槙ようこさんと持田あきさんの手渡し会に行ってきました

【ピカ☆イチ】〔槙ようこさん×持田あきさん〕第1回(講談社ARIA創刊号・2010年9月号)の感想 その1
↑のつづき

○主人公は目立たない生徒

 この作品には2人の主人公が登場します。一人は鈴木太郎という
男子、もう一人は鈴木花子。どちらも何かの申込書の記入例に
出てくるような名前ですが、この二人には共通点がいくつもあります。

(1)とにかく目立たない

 花子は隣の席の人にいつまで経っても顔を覚えてもらえませんし
太郎は毎日登校しているのに存在していることすら認知されず
登校拒否をしているのではないかと思われています。普通新入学を
したらまず自己紹介の機会が設けられるでしょうから、少なくとも
顔くらいは覚えてもらえそうですが、ここまで認識されないっていうのも
すごいな。毎日登校していれば普通嫌でも覚えてもらえるだろう。

 一体どうやればここまで存在感を消せるんだろう…こんな感じだから
言うまでもなく友達なんていないんだろうな。今までの授業でグループ単位で
動くようなものはなかったのか? まさかそういう機会があったのにも
関わらず忘れられてしまったのか!?

(2)愛種(あいだね)高校の校訓に惹(ひ)かれて入学した

 二人は愛種高校の校訓に強く惹かれて入学することを決意した
そうです。普通志望先の高校の校訓なんて調べないだろう…というか
その高校に通っている生徒の中で何人が校訓を覚えているのだろう(笑)
下手をしたら教師も言えないのでは?

 校訓に興味を持つ人などほとんどいないでしょうが、どんな校訓
なのかと言うと…

一、常に人のために
一、友を大切にする
一、正々堂々とする


 これが本当に実現できているのであればとてもすばらしいですが
校訓の理念が本当に実現できている高校なんてまずないだろう…


(3)同じ任侠(にんきょう)映画が好き

 ただし太郎は「暁(あかつき)親ブン」、花子は「マシャコ姐(ねえ)さん」
が好きなようですが、同じ映画が好きなことに変わりはありません。
映画に出てくる組の掟(おきて)と自分が通う高校の校訓を重ね合わせて
いるようです。


○陰湿ないじめが愛種高校にあることを知った二人

 成績が一番下位の子は徹底的に退学に追い込まれるまでいじめられる
のか。いじめの対象の子が退学に追い込まれたとしても成績が一番下の子
というのは必ず一人生まれる訳ですから、いじめの対象は常に
供給されているんですね。


 学校側がいじめの事実を把握してないとは考えにくいよな。だって退学する
子が全員真実を伏せて学校から去っていくとは思えないですし。もう縁が
切れるのであればどんどん話をすればいいのに。

 ただいじめられる子って保護者に心配をかけたくないとかいろいろ考えて
しまうから本当のことってあまり言えないのかな?

 この高校の場合はどうなのかまだ明らかにされていませんが、学校側は
いじめの事実を知りながら十分な対策を取らないというのも決して珍しくは
ありません。で何か起こったら「把握(はあく)していない」と言って終わりと。
ただ今回の話を見ると少なくとも保険の先生はまだ事実を知らないっぽい
ですね。

 そもそも優等生が集まる学校だから良い生徒が集まるという訳でも
ないですよね。良いのはあくまでもテストの成績であって、性格がどうで
あるかは確かめていないのですから。

○現状を変えたいとは思わない生徒達

 基本的にただ見ているだけの子も十分加害者なのですが、いじめている
側の人数を考えるととてもじゃないけど止めに入るなんていうことは
無理ですよね。下手にことをしたらいじめの対象に加えられてしまうことは
容易に想像できますから。極論すれば1人を全校生徒がいじめているような
状態ですから、この状況でいじめを止めろと生徒に言うのは酷(こく)かも。
個々の生徒に出来ることは勉強をして最下位にならないよう祈るのみ
とは。

 太郎と花子はこの状況をなんとか変えたいと思っていますが、申し合わせた
訳でもないのに本当に考えることって同じなんだな。映画の影響で
「正義」についていろいろ考えたようです。


○目立つことをしたい二人にとっては格好の舞台

 他の生徒が何を恐れているかというと目立ってしまうことですが
太郎と花子の二人は、目立たない自分を変えたい、すばらしい校訓が
実現している高校に行きたいということですから、この状況で学校の
現状を変えようと目立つ行動をするのはむしろ望むところ
なんですよね。


 登校拒否をしているのではないかと思われるほど目立たない状態から
抜け出すのにこれ以上すばらしい舞台はないでしょう。さすがに
顔と名前は覚えてもらえますし。

 太郎は正義のヒーローになるのが夢で、花子は祖母に困っている子に
気づいてあげられる人になってねと言われていました。これらを
現実のものとするためにもここで黙っているわけにはいかなかったのでしょう。

 で、早速いじめられていた子を助けだしたのですが、そんなことを
したのにまだ謎の人物扱いなのかwwwww 生霊(いきりょう)扱いとか
ひどすぎだろう。ある意味太郎と花子はいじめられているような
ものだな。

○校門に「くせ者」あらわる!!!

 次回から激変の予感!!!

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