【REC-君が泣いた日-】〔牧野あおいさん〕最終話(りぼん2011年3月号)感想 その2
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【REC-君が泣いた日-】〔牧野あおいさん〕最終話(りぼん2011年3月号)感想 その1
↑のつづき
○RHKテレビの井留(いとめ)、みなみが撮影した動画を渡して欲しいと言う
みなみ「わ…渡すわけないじゃない 勝手にあんな汚いやり方で
ウソ番組作って あんたなんかに暁(あきら)を…」
(りぼん2011年3月号・P.543の4-5コマ目)
強引な取材でみなみも激怒したこともあったしな、もみあった際に
RHKテレビのカメラが壊れたこともあったのですが、どうやら賠償請求
とかは来ないようですね。まぁあの状況では弁償しろとは言えないだろうし。
みなみは動画を渡すのを拒否してますが、そりゃせっかく撮った動画を
自分達にさんざん嫌な思いをさせた奴に簡単に渡すわけないよな。
ところでみなみは撮った動画をどうやって世間に流そうと思って
いたのだろう? 撮ってもどこかで公開しなかったらただの思い出アルバムに
なってしまいます。ここでみなみが撮影することになった際のやり取りを
振り返ってみましょう。
暁「…俺なんて俳優じゃなかったら誰も見てくれないよ」
(りぼん2011年2月号・P.300-301)
↓
みなみ「そんなことない 私がみんなに教える本当の暁のこと」
(りぼん2011年2月号・P.301の1コマ目)
↓
暁「どうやって…」(りぼん2011年2月号・P.301の2コマ目)
↓
みなみ「私が撮る 暁の全部私が引き受ける!」
(りぼん2011年2月号・P.301の3-4コマ目)
ここのやり取りを見る限りでは撮り始めた段階では具体的にどうやって
公開するかまでは考えていなかったぽいですが、「みんなに」とあるので
クラスのみんなを集めて上映会とかはあり得たかも。最近は動画を
公開することができるサイトがたくさんあるので、そちらを利用すると
いう手もありますよね。
みなみは「本当の暁」のことを記録し知らせるのが目的なのですから
暁の偽りの姿しか放送してこなかったテレビ局に大事な動画を渡してしまったら
そもそも撮影を続けた意味自体がなくなってしまうからそう簡単に
話を受け入れる訳がないのです。
もしかしたらRHKテレビ以外の局が話しをもってきたのであればまだ
交渉の余地があったかもしれないけどなぁ…っていうか他のテレビ局は
動いてないのか? お話が始まった頃から他の局の姿が全く見えないの
ですが。
井留「私たちはただ世間が求めるものを作るだけだ
あれが汚い方法だと言うのなら それはそれを求める
視聴者の責任だ」(りぼん2011年3月号・P.543-544)
これは一理あります。テレビ局は視聴者が見ない番組は作らないの
ですから、結局レベルが低い番組ばかりになったとしてもその責任の
一端は視聴者にあるでしょう。視聴率が低くなれば自然とその番組は
なくなりますし。
ところで最近のテレビのひどさは半端ないだろう、特定の話題が
もりあがると一気にいろんな番組でとりあげて、飽きると今度は
他のネタでまた同じ事をやる。これでテレビ離れとか言ってるのが
なぁ。
暁「あなたは本当は分かってる 視聴者は流されやすいけど
バカじゃない 本当にいいものには無条件に心動かされる」
(りぼん2011年3月号・P.544の4コマ目)
井留が本当は何考えているのかを見抜いた暁。このことが
分かったのは暁自身がこれまで芸能界で生きてきた経験があるから
だろうな。どうすれば見ている側の心が動くかということは当然暁も
これまでいろいろ考えてきただろうし。
井留「…映像を渡して欲しい 我々は編集は一切加えない
それだけの価値がある映像だ 約束しよう 世間に必ず
真実を伝える 必ず」(りぼん2011年3月号・P.544の6-7コマ目)
真実を伝えてくれるのであれば、みなみの目的と一致しますよね。
撮影した動画をたくさんの人に見てもらったほうが暁の真実の姿を
知る人が増えることにもつながりますし、なにより暁がこの世に生きた
証(あかし)を残すことになります。
どんなに優れた機材を用意できたとしても結局本当に心を
開いた人が撮った映像には勝てないということですね。
みなみが撮った画像はRHKテレビで放送され大きな反響を
呼びました。ほとんどの人にとて初めて見る暁の演技でない
本当の姿となりましたが、この番組が暁の芸能生活最後の
テレビ出演となりました。
○暁、死去
みなみがうたたねをしている間に病室の床に倒れてしまった暁。
治療室に運ばれるも残念ながら助からなかったのですがみなみは
自分がうたたねなんかしなければという罪悪感のようなものが
あるようですね。
みなみ「…あの日 私がずっとそばにいたのに…私 眠っちゃって
もし私がちゃんと暁を見てれば もしかしたらまだ今も…」
(りぼん2011年3月号・P.552の3コマ目)
もちろんみなみにそんな責任などあるわけないのですが、自分の
目が覚めたら自分の目の前に暁が倒れていたのですから、もし
自分がうたたねなんかしなかったらと考えてしまうのも無理はないです。
ところが暁は意識があったのにも関わらずナースコールを
押していなかったことが判明。暁の意図を図りかねていた二人
でしたが…
マネージャー「…だけどあんな体でも俳優続けたがってた奴だよ
きっと最後に何かやりたいことがあったんじゃないかな…命より
大事な何かが」(りぼん2011年3月号・P.552の3コマ目)
マネージャーはなんで暁がナースコールを押して体調の急変を知らせ
なかったのか分からないようですが、みなみが病室に忘れたカメラの
中に答えが収録されていました。
マネージャーのこの話はまるでビデオを見て答えを知っているかの
ようですが、知らないっていうのは本当っぽいですね。
みなみはマネージャーから「何かやりたいことがあったんじゃないかな」
という言葉を聞いてなんとも言えない表情をしていますが、理屈抜きに
なんだかみなみが暁のやりたいことに絡んでいると直感で分かったのかも。
○暁がナースコールを押さなかったわけ
うたたねしているみなみをちょっとカメラで撮って遊んでいた暁
その際大きな発作を起こしてしまいました。一度はナースコールの
スイッチに手がかかりましたが、医師から今度発作を起こしたら最後と
言われたことを思い出し、スイッチを押すのをやめ、最後の力を
振り絞ってみなみのところへ行き、みなみにキスをしました。
そう、暁が最後にやりたかったことはこれだったのです。どうせ
助からないのであれば最後に好きな人とキスをしたかったのか…
できることであればもっといろいろお話ができる時に甘い言葉でもささやき
あいながらキスをさせてあげたかった…・゚・(ノД`)・゚・
キスをした直後に暁は力尽きてしまいましたが、考えられる暁の
人生の終わり方の中で一番良い結末だったのかもなぁ。好きな子と
キスをするというある意味幸せの絶頂の中で旅立つことができたの
ですから。
自分に最後の力を振り絞ってキスをした暁の姿を見たみなみは
人生で初めて泣きました。この後みなみはどんな場面で泣くのかは
分かりませんが、この時の涙は生涯忘れることなどないでしょうね。
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